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短冊への思い

 我が事務所の七夕ですが、約10枚の短冊を飾ることができました。その中で、あるご夫婦の二枚の短冊のお話をさせてください。ここでは妻をA子さん、夫をB雄さんと呼ばせていただきます。

 先週、A子さんが別件で当事務所に来所されました。そこで七夕の話をしたところ短冊を数枚持ち帰られました。後日A子さんは、夫と書いた短冊をもって当事務所に来られたそうですが、事務所は不在で一旦持ち帰られたとのこと。そして本日午前に再度来所され、まだ片づけていない七夕飾りを見て「まだ七夕飾りが残っていてよかった。数時間でよいから短冊を飾ってほしい」と安堵された様子で私に短冊を手渡してくださいました。

 『「いってらっしゃい!!」「お帰り!!」がいつまでも続きますように B雄』

 『明日もまた「オハヨー」という声を聞くことが出来ますように!! A子』

 A子さんは短冊を書いたのち、ちょっと買い物へ。その間に夫のB雄さんは短冊を書き洗濯物の上にのせておいたとのこと。B雄さんはA子さんが書いた内容を知らずに書かれたそうです。長年連れ添ったご夫婦が偶然同じ内容の願いを短冊に込めました。でもただの偶然とは少し違うのです。

 B雄さんは現在ご自宅で療養中。医師からはかなり厳しいお話があったと伺っています。このご夫婦にとって今過ごしているこの時間、この数分、この数秒は、いかに貴重で愛おしい、何にも代えがたい時間であるということは想像に難しくありません。残された時間に向き合い、その時間を二人でどう過ごしたいかを考えた結果、このご夫婦は偶然にも、ごくごく日常の挨拶という一コマが続くようにと願われたのだと思います。A子さんはB雄さんの短冊を見つけた時、夫が自分と同じことを願っていることを知り涙が止まらなかったと声を詰まらせながら話してくださいました。長年苦楽を共にされたご夫婦だからこそ通じる心と願いなのだと思います。

 「季節に添ったイベントをこの事務所でできたらいいな」と思って飾った七夕。素敵なご夫婦のこんなにも思いの込められた大切な短冊を預かり、飾ることができるとは思いもしませんでした。私たちにこのご夫婦の大切な願いを叶えらてあげられる力はありません。でもお話を伺ったり、仲間が集ったり、A子さんにとって少しでも不安や寂しさを和らげる場所にすることはできると思っています。

 B雄さんの腫瘍はあれから大きくなっていないそうです。どうかどうかこのまま悪化することなく、A子さんB雄さん夫妻にとって今日と同じ挨拶が交わされる日が一日でも長く続きますように。心から願っております。                             🍙いばらき

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